飾らなくなって久しい雛人形をどう処分するか、そもそも捨てても良いのか迷っている方も多いのではないでしょうか。
ずっと大切にしてきたものですし、捨てることにためらいを感じる気持ちはよくわかります。
実のところ、雛人形は持ち主が納得している場合や、その役割を終えた後であれば処分しても良いのです。
罪悪感なく手放したいのであれば、寺社でお焚き上げ供養をしてもらったり、供養後に処分したりすると良いでしょう。
そこで、当コラムでは雛人形を処分しても良い根拠として、その由来や役割を説明し、処分方法や注意点をわかりやすく解説します。
また、供養方法の一つとして、清め塩を使った自分でできる供養の手順もご紹介いたします。
雛人形の処分をお考えの方、手放すか持ち続けるか迷っている方も、ぜひ当コラムを読んで参考にしてください。
飾らなくなった雛人形(ひな人形)は処分してもいい!雛人形の由来と役割
雛人形を処分することに抵抗を感じる人も多いでしょうが、飾らなくなった雛人形は処分しても良いのです。
その理由を、雛人形の由来や役割からわかりやすく解説します。
雛人形の由来や本来の役割を知れば、手放す際の抵抗感も薄れ、同時に処分する時期も見極めやすくなるはずです。
雛人形(ひな人形)の由来や役割って何?
雛人形は、桃の節句であるひな祭り(3月3日)の際に飾られる人形です。
女児をケガや病気といった厄災から守り「健やかな成長と幸福な未来が訪れるように」という願いが込められています。
雛人形は、女児の代わりに厄災を受け止めてくれるお守りのような役割を担っているのです。
ひな祭りは、中国から伝わった厄払いの行事が元になっていると言われています。
そこに、日本の厄払い行事である「流しびな(紙や土の人形を形代として厄を移し川に流す)」が合わさったのが始まりだそうです。
江戸時代の頃には、今と同じように雛人形が飾られるようになり、この行事を「ひな祭り」と呼ぶようになりました。
役割を終えた雛人形は手放しても良い
女の子の健やかな成長を願う雛人形は、その女性が立派に自立した暁にはその役割を終えることになります。
無事に役割を全うした雛人形は、その後手放しても大丈夫です。
女性が自立したタイミングと言っても、その解釈は人それぞれでとくに決められた時期がある訳ではありません。
成人した際や結婚を機に手放す人もおられますし、引越しなどの都合で処分を考える人もおられます。
もちろん結婚後にも飾り続ける人もおられますし、ずっと雛人形を持っていても問題ありません。
「ここ数年飾ることがなくなった」というのが、手放す時期として一つの目安になるのではないでしょうか。
雛人形(ひな人形)を処分するときの注意点!感謝を込めて手放そう
雛人形の処分を決めたら、以下に紹介する3点に注意して、感謝の気持ちを込めて手放してください。
●最後にもう一度きれいに飾って感謝を伝えよう
雛人形を処分する前に、できればもう一度飾って一緒に桃の節句を迎えてください。
今まで守ってくれたことに感謝して、家族みんなでひな祭りを堪能しましょう。
雛人形を飾る期間
立春(節分の翌日)から2月中旬頃までに飾り、ひな祭りの後1~2週間を目途にしまう
●役目を終えた雛人形は、感謝を込めて供養しよう
雛人形は、祈りや願いの力を高め、形代(かたしろ)として代わりに厄災を引き受けてきてくれたのです。
言ってみれば、お守りやお札と同じような存在です。
役割を終えた雛人形は、そのまま処分するのではなく、感謝を込めて供養することを推奨いたします。
●他人に譲渡したり売却したりするのは望ましくない
「立派な雛人形だから処分するのは忍びない」と自分の子供や他人に譲ったり、売却したりすることを検討する人もいるでしょう。
しかし本来の意味からすると、雛人形は一人に一つずつ用意することが望ましいです。
どうしても譲りたい、売却したい、という場合は、せめて丁寧に供養してから行うことをおすすめいたします。
雛人形(ひな人形)の処分方法6つを詳しく解説!おすすめ度もわかる
雛人形を処分する方法は上記の通り6つあります。
この章では、各処分方法の特徴を解説するとともに、おすすめ度もご紹介しますので、ぜひ参考にしてください。
おすすめ度No.1!神社やお寺でお焚き上げ供養をしてもらう
おすすめ度☆☆☆☆☆
女児の健やかな成長を見守ってくれた雛人形は、やはり丁重に供養するのが一番おすすめです。
神社やお寺では、雛人形をはじめ、お守りやお札、遺品など、処分がためらわれる品をお焚き上げ供養※①してくれます。
雛人形や五月人形、日本人形、その他ぬいぐるみなども含めて「人形供養」という名称で供養を受け付けているところもあります。
ただし、お焚き上げ供養を行っていない神社やお寺もあるので、まずは相談してみましょう。
寺社によって、申し込み方法やお焚き上げ時の注意点が異なるので、雛人形を持ち込む前に確認しておいてください。
供養料の相場は3,000~10,000円ほどですが、いくら納めるのが良いかわからないときは寺社にそれとなく尋ねましょう。
※①お焚き上げ供養……寺社にて、祈祷や読経で品物を浄化した後、焼いて浄火する供養方法
●神社の場合
日常的にお焚き上げ供養を行っていることは少なく、行事(どんど焼きなど)の際に受け付けてくれることが多いようです。
供養の費用は「玉串料」としてお支払します。
●お寺の場合
檀家寺があるなら、まずはそちらの住職様に相談すると良いでしょう。
檀家寺がない場合は、近くのお寺に相談するか、インターネットで供養を行っているお寺を探しましょう。
供養の費用は「お布施」としてお支払します。
おすすめ度No.2!不用品回収業者に引き取ってもらう
おすすめ度☆☆☆☆★
雛人形だけでなく、台やぼんぼりなどの付属品もまとめて処分したい人には不用品回収業者への依頼がおすすめです。
不用品回収業者なら、雛人形以外の不用品もまとめて回収してくれますし、引越し時など処分品が多い時に便利です。
また、依頼者の希望に合わせた日時に自宅まで引き取りに来てくれるため、手間も時間もかかりません。
供養の手配をしてくれる不用品回収業者もあり、このような業者を選べば安心して雛人形の処分を託せます。
燃えるゴミとして自治体に回収してもらう
おすすめ度☆☆☆★★
この処分方法に抵抗を感じる方も多いと思いますが、雛人形は燃えるゴミとして処分することが可能です。
雛人形に対する思い入れは人それぞれなので、抵抗を感じない方にとっては手軽で費用もかからない良い方法だと言えます。
しかし、ずっと女児を守ってくれていた雛人形なので、この方法で処分する場合は事前に供養を行ってほしいと筆者は思います。
次章にて、清め塩を用いた自分で雛人形を供養する方法をご紹介しますので、ぜひ処分する前に行ってください。
専門店に買い取ってもらう
「骨董品としての価値が高い」「有名作家の作品」「状態が良い」という条件に当てはまる雛人形なら専門店での査定を推奨します。
人形買取の専門店なら、引き取り時に雛人形の供養を行ってくれるところが多いのも嬉しいポイントです。
少しでも買取金額を上げるためには、ホコリや汚れを払ってきれいにし、付属品も揃えておきましょう。
雛人形の場合、需要が高まる12~2月頃に査定に出せば、高値がつきやすい傾向があります。
おすすめ度No.3!イベントやNPO団体、施設などに寄付する
おすすめ度☆☆☆☆★
雛人形に、また別の場所で誰かの役に立ってもらいたいと思う場合は、イベントやNPO団体、施設などへの寄付をおすすめします。
●人形供養のイベントに持ち込む
明治神宮の人形感謝祭は有名ですが、各地の人形専門店や人形組合、葬儀社などでも人形を供養するイベントが行われています。
これらのイベントでは無料~10,000円ほどで雛人形を持ち込むことができるので、公式サイトを確認して申し込みすると良いでしょう。
イベントで供養された人形は、その後お焚き上げされたり、各団体へ寄贈されたりします。
●一般社団法人やNPO団体に直接寄付をする
雛人形の寄付を受け付けている団体の多くは、国内外で必要とする人の元へ届けることを目的としています。
寄付金と供養料を含め3,000~10,000円ほどが引き取り相場です。
●教育・福祉施設に寄付する
保育園、幼稚園、養護施設、福祉施設、老人ホームなどの施設に、雛人形の寄付を申し出る方法もあります。
寄付を受け付けているかは直接問い合わせるか、ホームページなどから確認しましょう。
もし雛人形を引き取ってもらえるようなら、礼儀としてお渡しする前に供養をすませておくことを推奨します。
フリマアプリやネットオークションで売却する
おすすめ度☆★★★★
フリマアプリやネットオークションは、自分で気軽に中古品を出品できるため、近年では定番化している不用品の処分方法です。
当然、雛人形もこの方法で売却することが可能です。
ただし、雛人形は「災厄を引き受ける身代わり」という役割上、売れにくい品であることは承知しておかなくてはいけません。
買い手が見つかった場合は、気持ち良く送り出せるように、郵送前に雛人形の供養を行っておくと良いでしょう。
次章にて、清め塩を用いた自分で雛人形を供養する方法をご紹介しますのでご参照ください。
雛人形(ひな人形)を自分で供養する方法!お清めに使える塩の種類と供養の手順
「燃えるゴミに出す」「フリマアプリやネットオークションで売る」などの方法で、雛人形の処分をお考えの方もおられるでしょう。
気にしていないつもりでも、いざ手放す時になって罪悪感が芽生える可能性も否定できません。
そこで、この章では自分でできる雛人形の供養方法をご紹介します。
罪悪感を和らげ、清々しい気持ちで雛人形を手放せるように、この方法で供養を行ってみてください。
お清めに使用できる塩をご紹介
お清めには海水100%の塩を使用します。
これは、イザナギノミコトが黄泉の国の穢れを祓うために海水に浸かり、禊祓(みそぎはらい)を行ったことに由来します。
市販されているものの中で、お清めに使用できるものとして有名なのは2種類。
「伯方の塩(伯方塩業株式会社)」と「瀬戸のほんじお(味の素株式会社)」です。
また、御神塩(ごしんえん)※②をわけてくださる神社もありますが、いただく場合は御初穂料をお納めましょう。
※②御神塩(ごしんえん)……神様の御前にお供えし、お下げしたお清め塩。強力なご神威があるとされる
お清め塩を使って自分で供養する方法
お清め塩を使用し、自分で供養を行う手順をご紹介します。
供養を伴わない処分方法をお考えの方は、自分で供養するこの方法で雛人形にしっかりと感謝を伝えましょう。
供養が完了した雛人形は、白い紙(または布)に包んだ状態で処分してください。
※供養を行う際は、前もって入浴し身を清めておきましょう
①柔らかい布などで雛人形を拭いて、ほこりや汚れを落とす
②白い紙(または白い布)の上に雛人形を置き、手をあわせて雛人形へ今までの感謝を伝える
③お清め塩を左、右、左の順に雛人形へ振りかける
④白い紙(または白い布)で雛人形を包む
どなたかの遺品である雛人形の処分をお考えの場合は、姉妹サイト「遺品整理プログレス」のコラムをご参照ください。
雛人形は無理に処分しなくても良い!ずっと飾るのもリサイズするのも有り
株式会社シュフーズが、30~60代の男女100名を対象に日本人形や雛人形に関しての意識調査を行っています。
これによると、所有または受け継ぐ雛人形や日本人形を何らかの形で処分しようと考えている人が85%に上りました。
しかし「自分の家に移動させて所持」つまり所有し続けると回答した人も15%おられます。
処分しても良いと理解していても、心情的に手放すのに抵抗がある場合はずっと飾り続けても構いません。
雛人形は、その女性のためにあるものなので、一生涯持ち続けても良いのです。
持ち続けることを選んだなら、ぜひ毎年きれいに飾ってあげましょう。
住宅事情などで、飾るスペースがないという場合は、雛人形をリサイズするのもおすすめです。
段数を減らす、ぼんぼりなどの飾りを小さなものに交換してガラスケースに納める、などの方法でコンパクトにできます。
まとめ
雛人形は、女児の健やかな成長を願い、厄災を代わりに引き受けてくれる人形で、その役割を終えれば処分しても問題ありません。
処分には、お焚き上げ供養をする方法、不用品回収業者への依頼、燃えるゴミとして出す、売却するなどの方法があります。
しかし、どの方法を選択するとしても後悔のないように十分考慮してください。
自分や大切な人を守ってきてくれた雛人形なので、気持ち良く手放せるようにしっかりと感謝を伝えましょう。
そして、自分で行う方法でも良いので、ぜひ供養してから処分してくださいね。